M.ヴェーバー大学教育論とその思想史的位相の"両面性" : 教授・学習論におけるSachlichkeit原理の主張を中心に
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
M.ウェーバー大学論は、これまで価値自由の主張など学問研究の側面から把握されてきた。本稿では、教員は研究者かつ教師たらねばならないというかれの所見等を重んじ、Sachlichkeit概念を中心に既知の主張を教授・学習論として再整理した。そのうえでこの教育論の示した、フンボルト以来の大学教育史上の思想的位相を究明した。その結果、フンボルトとの間で、古典性と現代性という両面性の共通点とともに違いが見出された。諸学の統一性を主張したフンボルトとは異なって、学生も自らの専門に閉じこもり、「事実の確定」という課題それ自身にザハリヒに没我的に打ち込むことによる人間形成をヴェーバーは求めた。履修等の諸形式を要請するなど官僚制化が進行する大学内部にかかわるSachlichkeitの主張は、一方では官僚制組織の原則としてのそれへと意味転化する。しかし他方、官僚制原則から人間形成原理へとも意味転換しうる。かれの両面性の立場は、そうした"緊張"を含んでいた。
- 日本教育学会の論文
- 2006-03-31
著者
関連論文
- M.ヴェーバー『職業としての政治』の政治教育思想とその史的意義--「実証」を通じての政治指導者形成の思想
- 教員養成教育における「体験的学習」 : フレンドシップ事業の取り組みを中心に
- 職業としての学問に関するマックス・ヴェーバー : 1919年のテキストは今日われわれに何をなお語りうるか
- 「思慮」概念とその近代的な「緊張関係」構造 : M.ウェーバー人格論における「考量」《Erwagung》概念についての教育思想史的考察
- 宣長学におけるの立場とその一元論的思惟傾向に関する一考察 : 人格主体の意図的形成についての否定の思想
- 徂徠学における「学」の概念に関する一考察 : 媒介的師弟関係の思想
- 徂徠学における「学」の概念に関する一考察--媒介的師弟関係の思想
- 徂徠学における「制度」の人間形成機能・論に関する一考察 : 2項対立的人間観との関係において
- 近世の師弟関係認識 : 方法的視角として(公開シンポジウムII 日本における教育思想の伝統と系譜-近世教育思想研究の視点から-,日本教育学会第66回大会報告)
- M.ヴェーバー工場労働論における教育認識の構造と特質 : 形成契機としての"自律化"の思想史的位相
- 近世の師弟関係認識 : 方法的視角として(II.日本における教育思想の伝統と系譜-近世教育思想研究の視点から-,3 公開シンポジウム,発表要旨)
- M.ヴェーバー大学教育論とその思想史的位相の"両面性" : 教授・学習論におけるSachlichkeit原理の主張を中心に
- 日本近世教育思想史における「ヴェーバー的問題」 : M.ヴェーバー儒教論における「合理主義」》Rationalismus《の二類型と教育史的問題の構成
- 山中 芳和 著, 『近世の国学と教育』, 多賀出版刊, 1998年1月発行, A5判, 304頁, 定価3,000円
- M.ヴェーバー『職業としての政治』の政治教育思想とその史的意義 : 「実証」を通じての政治指導者形成の思想
- M.ヴェーバー『職業としての政治』の政治教育思想とその史的意義 : 「実証」を通じての政治指導者形成の思想
- 小中一貫教育推進の必要性(理由)を検討する : 「義務教育学」の創成のために(ラウンドテーブル3,発表要旨)
- 小中一貫教育推進の必要性 : その類型と導入目的の構成
- 小中一貫「総合的な学習の時間」カリキュラムの構想(1) : 宮大附属小中において育成を目指す資質、能力、態度を視点に
- 北海道家庭学校寮長 藤田俊二年譜
- 小中一貫教育現場への問題提起 : 「確かな学力」概念に即しつつ、学力向上方針を問う(ラウンドテーブル9,発表要旨)