チモシー(Phleum pratense L.)における貫生化小穂を利用した個体の大量増殖法
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概要
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貫生化小穂を利用したチモシー個体の大量増殖法について検討した。圃場において「北見15号」に自然発生した貫生化小穂を供試し,貫生化小穂から再分化した個体並びにその放任受粉後代個体を得た。それらの個体の小穂分化期を,18℃以上の高温で栽培することにより貫生化小穂の誘発が可能であった。チモシーは冷涼な気象地帯が生育適地であることから,小穂分化期における高温環境がストレスになり,正常な分化と異なり,小穂が葉状の栄養体に貫生化したものと考えられる。貫生化小穂を採取した親個体,貫生化小穂から再分化した個体及びその種子後代個体において貫生化小穂が発生したことから,チモシーにおける小穂の貫生化は一般的な遺伝的形質と考えられた。一方それらの個体は,圃場における通常の栽培により出穂し,種子が登熟した。採種した種子の発芽は良好であった。本試験で得られた結果と,既に明らかにした貫生化小穂からの成体の再分化技術を合わせ,貫生化小穂を利用したチモシー優良個体の大量増殖法がほぼ確立できたものと考えられる。
- 日本草地学会の論文
- 1991-12-26
著者
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