トウモロコシ(Zea mays L.)子実における成分と消化性の品種間差異

概要

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飼料用トウモロコシの育種素材の飼料特性を部位別に明らかにするため,粒質の異なる品種・系統を供試して子実の成分と消化性の差異について比較した。子実は黄熟期収穫して風乾した。2mmに粉砕した全粒を用い,ナイロンバックを用いたルーメン内消化試験により12時間における乾物消失率を求めた。供試品種・系統はデント種を4種頬,フリント種3,ワキシー種5,スイート種3,ポップ種2,さらにその他の粒質として,ハイオイルコーンとハイアミロースコーンをそれぞれ1種ずつ,計19品種・系統である。それらについて,粗蛋白質,粗脂肪,細胞内容物(OCC),細胞壁物質(OCW),デンプン,可溶性無窒素・無繊維物(NCWFE)を分析した。NCWFEは子実の乾物中の約70-80%を占め,その中をデンプンとそれ以外の炭水化物に分画すると,スィート種のデンプン含量が20-30%に留まったのに対して,他の粒質では約60-74%であった。その他の際だった特徴は,ハイオイル種で粗脂肪が10.6%と他の粒質の約2倍を示したことであった。ルーメン内乾物消失率のレンジは51.4%で,供試品種間で大きく異なり,特に粒質間に明らかな差異が認められた。スィート種は平均80.6%と最も高く,次はワキシー種の平均61.1%であり,他の粒質は概ね50%前後で類似していた。しかしルーメン内乾物消失率から水洗により消失する分を減じて補正した乾物消失率(補正乾物消失率)は,ワキシー種が47.0%と高いものの,他の粒質は概ね30%台であり,最も低かったのはスイート種で,平均30.5%であった。粗蛋白質が低く,NCWFEが多く,またNCWFE中のデンプンが多いほど,補正乾物消失率が高い有意な相関が認められた。また,ワキシー種のデンプン含量は,デント種やフリント種と差が無いにもかかわらず,補正乾物消失率は7-9%高かった。このことから,デンプンの質的相違によりルーメン内消化性が異なると考えられた。
日本草地学会の論文
1991-04-30

トウモロコシ(Zea mays L.)子実における成分と消化性の品種間差異

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