不耕起追播による寒地型草地の改良 : III.追播したアカクローバ(Trifolium pratense L.)の定着に及ぼす窒素施用量及び刈取りの影響
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概要
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オーチャードグラス優占草地に追播したアカクローバの定着を図るため,窒素施用量と追播後の刈取りの影響を検討した。既存牧草の生長速度がアカクローバの定着に与える影響を見るため,窒素施用量として,少肥区(N=4kg/10a),多肥区(N=8kg/10a)の2水準を設けた。また,既存牧草による被陰の影響を見るため,刈取り処理として,既存のオーチャードグラスの草丈が20cmに達したときに刈り取る区(20cm区)と,同様に40cmの区(40cm区)及び年3回の刈取り区(対照区)の3水準を設けた。追播当年の秋におけるアカクローバの個体数は,少肥条件下では40cm区>対照区≧20cm区の順に,多肥条件下では40cm区>20cm区≧対照区の順に多かった。多肥条件下では,全ての刈取り区において少肥条件下よりも個体数が少なかった。追播翌年の個体数では,収穫番草が進むにつれて刈取りの処理間差が小さくなった。20cm区で定着が劣ったのは,刈取りによって光条件は改善されるものの,同時にアカクローバ自身の生長が強く抑制されたためと思われた。以上のことから,追播したアカクローバの定着のためには,N少肥条件が望ましく,また追播後,既存牧草の草丈が40cmの時に刈り取ることが望ましいと判明された。
- 日本草地学会の論文
- 1988-09-30
著者
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