神道の死生観をめぐって : 『古事記』の死後観は心情的ニヒリズムか
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概要
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宗教の死生観が問題とされる際、神道の場合は、現世を越える超越的価値をもたない所謂「現世主義」であるとされることはよくあるが、例えば仏教的立場からは、更にその現世主義に「心情的なニヒリズムの影」がつきまとっている、というような批判さえ提出されている。しかし、神道に対する「現世主義」という通念も、そこに「心情的なニヒリズム」を見出す捉え方も、神道における「いのち」を、人間の肉体的生命、乃至この世の生命というように誤解したところから生じている。人間も自然も、自分で生きているのではない、いのちに生かされて生きている、いのちの顕現である。そのようないのちとは、この世とあの世というような範疇のみならず、此岸とか彼岸といった、普遍主義的宗教の概念にも属せしめられない。神道の中核に「いのちの敬虔」を見た本居宣長の神道観は、そのことをよく表している。
- 2007-03-31
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