脳性マヒ児に対する作業療法におけるクリニカルリーズニング区分の研究
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概要
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先行研究から,発達障害の分野におけるクリニカルリーズニングを扱った研究は極めて少ないという知見を得た。そこで,脳性マヒ児に対する作業療法のクリニカルリーズニングを,発達障害領域で勤務している臨床経験10年以上の作業療法士5名,4年未満5名から研究への了解と同意を得て,参与観察と映像記録および面接による研究を行った。面接データには作業療法士の判断とその理由を示す言葉が述べられていた。面接内容から治療介入上の推論を記述し類型化した。類型化にあたっては継続的比較がもちいられた。第一の類型は疾患に特有な現象や反応に起因する治療的判断や使用機材の決定に関するものであり科学的根拠として重視されていた。第二に対象児の個人的な性格や将来に関する判断,第三に作業療法の具体的進行に関する判断,第四に作業療法と作業療法士の治療の正当性に関する判断と迷いであった。さらに,作業療法を楽しい雰囲気の時間として経験させたいという意図が示された。臨床場面には脚本があり,作業療法士による修正が行われていた。そして臨床場面の楽しい雰囲気の維持は,対象児の作業遂行を継続し発達を促し,作業療法を効果的に展開する上で重要なリーズニングの一つであることが示された。
- 日本保健科学学会の論文
- 2007-09-25
著者
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山田 孝
首都大学東京大学院人間健康科学研究科
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長谷 龍太郎
茨城県立医療大学
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山田 孝
首都大学東京
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長谷 龍太郎
首都大学東京大学院人間健康科学研究科
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長谷 龍太郎
神奈川県立保健福祉大学 リハビリテーション学科 作業療法学専攻
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長谷 龍太郎
神奈川リハビリテーション病院
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