絶滅危惧種ヒナモロコの人工繁殖
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概要
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絶滅危惧種であるヒナモロコにおいてHCGを用いた人工繁殖を行った.親魚は2-3ヶ月間水温27℃で長日処理を施し成熟させたのち実験に供した.HCGは麻酔をかけ雌雄10IU/gBW腹腔内に投与した.その後産卵水槽に放して,12時間後産卵の確認を行い,産卵が確認できなかった個体は再び飼育し成熟させた.実験は6回行い,そのうち3回で産卵が確認された.ヒナモロコは雌雄で成熟度合いが異なり,雌はHCGを投与せずとも成熟して排卵する個体も存在するが,雄の場合精液を搾出できる個体は確認されなかった.雌雄にHCGの投与を行い,雄が婚姻色を呈し,腹部を押すと精液の流出が認められた場合には,産卵に成功したため,産卵は雄の成熟状態によると考えられた.1回の産卵では,3尾の雌から約1000粒の受精卵が得られ,そのうち約700尾が艀化した.仔魚は艀化後4日目には遊泳し,その後粉砕した配合飼料を積極的に捕食して行った.このことから,初期餌料としてワムシなどの微細な動物プランクトンを使用せずに飼育可能なことが分かった.
- 2007-03-31
著者
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高久 宏佑
近畿大学大学院農学研究科環境管理学専攻
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細谷 和海
近畿大学大学院農学研究科環境管理学専攻
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高久 宏佑
三重大学大学院生物資源学研究科
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金 益秀
全北大学校自然科学大学生物学科
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細谷 和海
近畿大学大学院農学研究科
-
金 益秀
韓国全北大学校自然科学大学生物学科
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