高齢者の閉鎖性運動連鎖による下肢筋力発揮特性と歩行機能との関連性
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概要
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高齢者が豊かで充実した生活を営むためには、自立歩行できる能力を維持していくことも必要な要素である。近年、介護予防の観点からも運動器の機能向上において重点的に筋力トレーニングが実施されている。高齢者の脚筋力の評価方法としては、一般的に大腿四頭筋の筋力を評価する膝関節伸展筋力を測定する方法が用いられている。しかしこの方法では、膝痛や膝関節障害を有する者では測定が困難である。加えて、歩行機能と筋力との関連性をみた場合、歩行動作に関わる大腿四頭筋の役割も重要な要素ではあるが、そればかりではないことは明白である。そこで、今回我々は、独自に開発した下肢筋力測定装置により、膝痛や膝関節障害を有した者でも測定可能な閉鎖性運動連鎖による下肢筋力の測定を実施し、その筋力発揮特性と歩行機能との関連性について検討した。得られた主な結果は以下のとおりである。1)最大下肢筋力とそれに到達するまでの所要時間の間には有意な負の相関があり、最大下肢筋力の小さい者ほど、その筋力が最大になるまでの時間が長いという傾向がみられた。2)筋力発揮時から1秒間の筋力発揮様相を分類した結果、3種類の特徴的な筋力発揮曲線が得られ、下肢機能評価の基準として活用できる可能性が示唆された。3)本装置による下肢筋力と膝関節伸展筋力との間には有意な相関があり、下肢筋力が膝関節伸展筋力を含む複合的な筋力を測定していることが示された。4)下肢筋力と歩行速度、歩幅との間には有意な正の相関があり、本装置による下肢筋力が歩行能力を評価する指標となる可能性が示唆された。
著者
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眞竹 昭宏
山口県立大学看護学部
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眞竹 昭宏
山口県立大学看護栄養学部看護学科
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三浦 由紀子
山口県立大学看護学部看護学科体力科学研究室
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花本 亜沙美
山口県立総合医療センター
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三浦 由紀子
山口県立大学看護栄養学部看護学科
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