コムギ種子休眠関連遺伝子,PEの組織特異的発現
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概要
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ポリペプチドE(PE)は,強い休眠性を持つコムギの系統,北系-1354の種子胚に蓄積し,休眠性を持たないチホクコムギや休眠性が低下した突然変異体,EH47-1(Rsd)では蓄積しないこと,休眠形成期のコムギ種子胚で最も高い発現を示し,種子以外の組織では発現が認められないことなどから,休眠の形成や維持に関わると考えられるタンパク質である。一方,完全長cDNAから予測されたアミノ酸配列は既知のタンパク質との有意な相同性を示さず,その分子機能は未知である。本研究ではPEの機能を解明する手がかりを得るため,in situハイブリダ・イゼーション法を用いて発現の組織特異性を解析した。休眠形成期(開花後30日)の北系-1354種子では,PE遺伝子は胚盤,幼根,幼葉,幼葉鞘を含む胚全体に加え,胚乳の一部を構成する糊粉層細胞でも発現していた。一方,種子成熟過程で死に至る果皮,種皮,およびデンプンを蓄積する胚乳細胞では発現しないことが明らかになった。この発現の組織特異性は,PEが休眠の形成と維持あるいは胚と糊粉層細胞の乾燥耐性獲得に関与する可能性を示唆している。
- 明治大学の論文
- 2006-12-25
著者
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