商業調整政策の特殊性とその背景 : 小振法と大店法の運用にみる調整の時代における商業政策の評価(その(2))
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概要
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本稿は,前稿「商業政策における振興・調整政策の展開」(『千葉商大論叢』43-4)を受けて,大店法下のいわゆる調整の時代(1974年〜2000年)を通しておこなわれてきたわが国の商業政策をその運用を中心に検証することで,当時代にわが国の商業政策が果たした役割を評価することを目的にする。競争政策を主軸にすえて,調整政策で一定の猶予期間を設定し,その間に振興政策で中小零細小売業を市場競争の土俵につけるように育成・支援するというモデルがわが国の商業政策の理念であったとしても,わが国では調整政策である大店法で一定期間の猶予はできていたが,主軸となる競争政策の機能不全の状態が長く続き,小売商店のうちの圧倒的多数を占める中小零細小売業の下層部は振興政策ではその政策対象とされてこなかった。そのため,わが国小売商店のうちの圧倒的多数を占める中小零細小売業の下層部は市場競争のスタートラインに着けることはなかったことが本稿の検証で解明された。また,歪んだ地元主義のもとでの運用や利害関係の調整などといったようにわが国の商業調整政策は極めて特殊なかたちで運用されていたことが分かった。そして,その特殊性は政策の運用体系から生み出された必然であったことが解明された。
- 千葉商科大学の論文
- 2006-06-30
著者
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