イギリスにおける小売業の上位集中化傾向の進展
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概要
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本稿の直接的な目的はイギリスの小売業を取り上げて,その競争環境の変化を構造的な側面から検討することにある。イギリスにおける小売商店数の減少傾向は長期間にわたり確実に進行してきているが,その実際は独立店(Independents)および生協の店の減少であって,マルティプル(Multiples)と呼ばれるチェーン店の方の商店数は増加しているのである。また市場占有率でみると,商店数で2割強のマルティプルが全体の7割近くを占めるまでになっている。とりわけ,飲食料品・家庭用雑貨などといったグローサリーの分野においてマルティプルの市場占有率は急激に拡大している。イギリスでの小売競争は主に大規模な小売企業間においてなされているであり,その結果として巨大な小売企業が出現するとともにそこへの一層の資本集中が進んでいる。とくに,グローサリー分野でのこのような小売競争のあり方は,数社の巨大な小売企業だけでこの分野の小売市場のほとんどを占有するという結果を招いてしまった。
- 2004-06-30
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