進行性尿路上皮癌に対するM-VAC(Methotrexate,Vinblastine,Adriamycin,およびCisplatin)療法の臨床的検討
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概要
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進行性尿路上皮癌12例にMethotrexate,Vinblastine,AdriamycinおよびCisplatin併用療法(M-VAC療法)を施行しその臨床的検討を行った.性別は男性11例,女性1例で年齢は46歳から79歳まで平均63歳であった.Performance status(PS)は0が2例,1が5例,2および3が各2例,4が1例であった.原発腫瘍部位は,膀胱8例,腎盂3例および尿管1例で,これらの組織型は移行上皮癌と扁平上皮癌との混合腫瘍である1例を除きすべて移行上皮癌(Grade 3)であった.9例で原発腫瘍の摘除が行われており,残り3例は生検のみが施行されている.転移部位は肺が最も多く7例次いで骨4例,リンパ節3例などであった.薬剤投与量は,原則として患者の全身状態を考慮しSternbergらの原法の80%濃度とした.原発腫瘍が摘除された9例のうち化学療法死した1例を除く8例の治療効果はCR1例.PR4例で奏効率(CR+PR)は62.5%であった.これらPR症例で残存腫瘍の切除が行われ,うち2例は外科的CR状態となり化学療法開始より33ヵ月および29ヵ月を経たが再発を認めていない.生検のみが施行され原発腫瘍の残存する3例のうちPRは1例で奏効率は33%であった.臓器別臨床効果は症例数の少ない膀胱および腹直筋を除けば肺およびリンパ節で奏効率が高く各57%,33%であった.副作用は,白血球減少を11例(91%)に悪心,嘔吐,食思不振および脱毛を全例に認めた.しかし,腎機能障害は軽度であった.M-VAC療法は進行性尿路上皮癌,特に術後再発症例に有効であるがその副作用に留意し慎重に行われるべきであると思われた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1989-03-20
著者
-
守殿 貞夫
神戸大学医学部泌尿器科
-
郷司 和男
神戸大学医学部泌尿器科
-
濱見 学
兵庫県立尼崎病院泌尿器科
-
後藤 章暢
神戸大学医学部 泌尿器科
-
原 勲
神戸大学医学部泌尿器科
-
原田 健次
済生会兵庫県病院泌尿器科
-
武中 篤
神戸大学 大学院医学部腎泌尿器科学
-
武中 篤
神戸大学医学部腎泌尿器科
-
松本 修
神戸大学医学部泌尿器科学教室
-
井谷 淳
兵庫県立淡路病院泌尿器科
-
濱見 學
兵庫県立尼崎病院泌尿器科
-
浜見 学
県立尼崎病院 泌尿器科
-
原田 健次
鏡紡病院泌尿器科
-
田寺 成範
田寺泌尿器科病院
-
原 勲
神戸大学医学部・泌尿器科
-
井谷 淳
甲南
-
田寺 成範
田寺泌尿器科
-
武中 篤
神戸大学医学部第2病理
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