ヒトAndrogen receptorに対する単クローン抗体を用いた前立腺癌のホルモン感受性診断

概要

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ヒトandrogen receptor(AR)に対する単クローン抗体を作製し免疫組織化学的に前立腺癌(PC)組織中のARの同定を行なって,内分泌療法の効果とARの有無との関係を検討した.1)ARに対する単クローン抗体5F4は前立腺肥大症組織の腺上皮細胞の核と細胞質を強く染色した.間質も染色されたがその染色性は腺上皮に比べると弱かった.2)単クローン抗体5F4によりandrogen依存性である外陰部皮膚由来のfibroblastは染色されたが,androgen非依存性であるリンパ節由来のfibroblastは染色されなかった.androgen非依存性前立腺癌細胞株であるPC-3細胞も全く染色されなかった.3)16例のPC組織中2例はAR(+)の癌細胞のみから成り,7例はAR(-)の細胞のみから成り, 残り7例はAR(+)の細胞とAR(-)の細胞が混在していた.4)AR(+)型と混合型の9例中,評価不能である2例を除く7例全てが内分泌療法に反応したのに対し,AR(-)の7例では評価不能1例を除く6例が全て内分泌療法に反応しなかった.5)ARの有無は病理組織学的悪性度とも,臨床的進行度とも関係がなかった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1988-07-20