移植腎血管異常に対する血行再建の臨床的検討

概要

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(目的)ドナー腎動脈に対する血行再建の経験をretrospectiveに検討した。(対象と方法)56例の血縁間生体腎移植の内,15例が腎動脈の再建または結紮を要した。腎動脈の血行再建は11例に対し施行され(end-to-side法が4例,conjoined法が3例,hypogastric artery法が3例,他1例),一方単なる結紮は4例に対し施行された。待機手術は10例の複数腎動脈,1例の腎動脈瘤に対して行われた一方,緊急の腎動脈再建は2例の術中発見の細い分枝に対し,また2例の術中損傷に施行された。上記15例に対し,総阻血時間,そしてDTPA腎動態シンチにて腎実質欠損像の有無及び腎機能(GFR)を評価した。(結果)血行再建例の平均の総阻血時間は135分(中央値)であり,結紮例では67分であった。どの症例も急性尿細管壊死のための血液透析を要しなかった。術後の腎実質欠損は再建例では11例中12例認めたのに対し結紮例では4例中3例で認めた。術後のGFRは全例良好であった。(結論)結紮と緊急の腎動脈再建はGFRには影響しないが腎梗塞と関連する傾向があった。血行再建は結紮よりも総阻血時間が長いにも関わらず腎実質を温存できた。腎移植においてはネフロン温存を目指し,ドナー腎動脈異常が判明した際には再建に尽力すべきである。ドナー腎動脈の詳細な術前評価は必須である。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-05-20

移植腎血管異常に対する血行再建の臨床的検討

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