書字行動の熟達過程に関するグラフィカル・モデリングによる分析(人間科学)

概要

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練習によって行動が熟達していく過程は、通常、練習とそのパフォーマンスのレベルとの関係を学習曲線で表現することで、研究されてきた。特に、学習曲線の型の違いが、その関係の違いを表していると仮定して、熟達過程を考えてきた(神宮, 1996)。行動のパフォーマンスとしては、遂行時間やエラー率など様々な側面があり、これらが同一な関係の下で熟達していくわけではない。同じ行動に対して、様々な側面から熟達過程を考えることは従来あまりなかった。我々は、書字行動の熟達過程について、書字時間や空筆時間などの様々な側面について、学習曲線から研究を続けている(日心, 2001 : 2002)。今回は、従来の学習曲線とは異なった視点から、熟達過程を明らかにしたいと考え、グラフィカル・モデリングを使って、パフォーマンスの変化について分析を行った。練習によってパフォーマンスが変化するのは、前の練習の結果が現在のパフォーマンスに影響しているからである。そして、現在のパフォーマンスが、次の練習の結果を規定することになる。過去・現在・未来と続く時系列的な影響の連鎖によって、熟達過程が構成されている。この連鎖を何らかのモデルによって表現して、実際の結果と一致しているかどうかを明らかにすることは可能である。しかし、このモデルとしてどのようなものが適当かについては、多くの可能性があり、どの程度さかのぼっての連鎖を考えるべきかを特定することは難しい。そこで、数値演算によって、結果としての連鎖を表現する手立てとして、グラフィカル・モデリングに注目した。この手法では、偏相関が基本となる。本来、相関から因果関係を即断することはできないが、本分析では、時系列性を前提としているため、過去と現在との問での因果を考えることができる(Jingu, 2002)。

書字行動の熟達過程に関するグラフィカル・モデリングによる分析(人間科学)

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