冷害稲(Oryza sativa L.)わらの成分組成およびめん羊における第一胃内乾物分解性
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概要
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従来,冷害わらの成分ならびに分解性に関するデータの蓄積は極端に少ない。そこで,1993年産の不稔歩合の異なる冷害わら47点と1994年産平年わら7点を岩手県7市町村から収集し,それらの成分特性(特に,単少糖類:MOS,澱粉:ST含有率)およびめん羊の第一胃内における乾物分解性(特に,48h乾物分解率:48h-DML,最大可能乾物分解率:MPDD,分解速度:DR)の測定,さらに茎組織細胞の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。不稔歩合が高まるにつれて,茎の占める割合は増加,葉身,葉鞘の割合は減少し,平年わらとの差は特に茎と葉鞘で大きかった。成分含有率では,不稔歩合が高まるにつれて,CPが増加,NDFが減少し,平年わらと比較してそれそれ最大4.3,6.7%の差がみられた。MOSとSTは不稔率間に大きな差が認められなかったものの,それぞれ平年わらの1.8-1.7倍,5.9-4.3倍の著しく高い値を示し,また,これら両成分のほぼ90%以上が茎に含有されていた。このことは,SEMによる茎組織細胞内の澱粉粒の観察によっても確認された。48h-DMLおよびMPDDは,不稔歩合の上昇に伴い高まり,平年わらとの差はそれぞれ19.8-11.9%および20.4-12.6%であった。器官別の48h-DMLは,茎(17.6-74.2%)で最も高く,次いで葉身(66.0-53.1%)であった。平年わらとの比較では,それぞれ最大で12.8,18.221.2%の差を示した。また,DRでは,特に高および中不稔わらで速く,平年わらの3.0%/hに対して4.6-4.1%/hを示した。以上,冷害わらの成分組成および第一胃内分解性は,冷害の度合(不稔歩合の高低)によって有意に変動していることと同時に,平年わらと比較して著しく優れていることをさらに明らかにした。
- 1997-01-31
著者
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