自動実行型ADRサービスにおける参加者の費用負担方法のあり方に関する一考察 : 電子的自力救済型個人データ保護制度を中心に
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概要
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ネットワーク上への個人データ流出では、伝統的な司法手続による救済はデジタル情報の即時流通性との間のタイムラグにより、訴訟手続中に流出した個人データの2次流出により、その機能を十分に果たしえなくなることが考えられる。筆者はこれまでの研究において個人データのネットワーク上への流出直後から司法手続が終結するまでの間の2次侵害発生を防止し、司法手続を補完する制度が必要であるとの観点から電子的自力救済型個人データ保護制度の設計を試みてきた。本稿では電子的自力救済型個人データ保護制度の設計のうち、特に制度運営のための費用負担のあり方について、税方式、補償金方式、保険金方式、補助金等について、そのメリットとデメリット、及び導入に際しての現状における課題について検討し、電子的自力救済型個人データ保護制度の財源制度のあり方として私的録音録画補償金型の情報通信機器への価格転嫁型一括収受形式の補償金方式として設計するのが現実的であるとの方向性を得た。今後は、PCや携帯電話のような情報通信端末を利用しない層の個人データの流出における救済の実効性が問題となることが予想される。この問題に対応するためには、単一の財源に頼るよりも総合的な財源調達システムを検討することが必要である。
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