77年間継続した四要素無施用区と堆肥施用区にみられる水稲玄米収量の経年推移と各要素の施用効果(収量予測・情報処理・環境)
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概要
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愛知県農業総合試験場では,1926年から水稲の四要素(窒素,りん酸,カリ,石灰)と堆肥の連用試験および窒素,りん酸,カリ,石灰各要素連年無施用の試験を行っている.2002年までの77年間における試験の中で,窒素,りん酸,カリ,石灰の各要素欠除は収量へ負の効果を示し,堆肥施用は収量増への効果を示した.このうち窒素およびりん酸欠除区の対四要素区収量比は77年間にわたって減少傾向が続くことが推察された.逆に堆肥施用区の対四要素区収量比は増加傾向にあり,堆肥施用効果が年次経過につれ増加していると考えられた.無カリ,無石灰区においても対四要素区収量比は年次を経るごとに増加傾向にあったが,その要因については明確にならなかった.また,窒素,りん酸カリ,石灰の各要素欠除区,及び堆肥750kg,堆肥2250kg区と四要素区との収量差をそれぞれの各要素の施用効果,無肥料区における収量を地力とし,これに経過年次を加えて,各々を説明変数として用い,収量を目的変数として,重回帰分析を行ったところ,無りん酸,無カリ区では石灰施用が収量へ負の効果を示した.無カリ区では,石灰施用によりカリ欠乏が惹起していることが考えられ,また,無りん酸区では,石灰施用によってりん酸吸収条件が良くなったが土壌養分としてりん酸が吸収できるほど残存しておらず,一方で,施用されたカリとの競合が起き,石灰施用が負の効果を示すものと考えられた.無石灰区においてはカリ施用が収量へ負の効果を示した.また,無石灰区では,カリ施用によりカルシウム欠乏が惹起していることが示唆された.
- 2007-04-05
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