施肥管理の異なる野菜畑土壌における微生物群集構造の解明
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概要
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野菜畑土壌における有機質肥料の連用および深耕が微生物群集構造およびその活性に及ぼす影響を明らかにするために,施肥管理の異なる5つの処理区(PK,NPK,牛糞3t,牛糞4.5t,牛糞3t+深耕区)を供試し,一連の研究を行った.得られた結果を要約すると以下のようになる.1)微生物(細菌および糸状菌)数,バイオマスおよび酵素活性は堆肥施用により増加していたことから,施用堆肥は基質として微生物に利用され,その活性を高めることが明らかになった. 2)堆肥施用により,UQ-8および-10が増加した.これらは根圏から頻繁に分離される,BurkholderiaやAgrobacterium等のProteobacteriaに由来すると考えられた.また,MK-7およびMK-8(H2)も増加していた.したがって,これらのキノンを有するFirmicutesもしくはCytophaga-Fravobacteriumグループに属する微生物,および、Actinobacteriaは堆肥施用により増加したと考えられた.増加したMK-7は堆肥由来,MK-8(H2)は基質となる有機物の増加により増加した土着微生物由来であることが示唆された. 3)深耕により未分解作物根由来の多糖類が増加および蓄積し,それを利用する糸状菌が集積したと推察された. 4)MK-6,-7,-8(H2),-7(H4)および-8(H4)を有する細菌は,深耕により増加した多糖類分解糸状菌の菌体成分,もしくは残根由来多糖類代謝産物を栄養源として増加すると推定された. 5)MK-6,-7,-8(H2),-7(H4)および-8(H4)の存在量は,β-キシロシダーゼ,キモトリプシンおよびホスポジェステラーゼ活性と類似した傾向を示した.したがって,これらのキノン種を有する微生物,特に存在量の多いMK-7を有するFirmicutesもしくはCytophaga-Fravobacteriumグループに属するグラム陰性菌,およびMK-8(H2)を有するActinobacteria等の微生物が,主にこれらの酵素を分泌すると推定された.
- 2006-04-05
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