リン酸石膏の施用が土壌の化学性とコマツナのCa吸収に及ぼす影響

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リン酸石膏(PG)施用による作物へのカルシウム供給効果を明らかにするため,土壌の交換性カルシウムと水溶性カルシウムに着目し,コマツナ(品種:夏楽天)を用いて栽培試験を行った.得られた結果は以下の通りである.1)炭カル施用では土壌pHが6.0から6.8へと上昇したのに対して,PG施用では土壌pHはわずかに低下した.一方,土壌ECは溶解度の高いPGの施用により上昇し,最高で1.1dSm^<-1>に達したが,コマツナの生育阻害を引き起こす程度ではなかった.また,土壌の交換性カルシウムの増加程度は炭カルとPGで同様であったのに対し,水溶性カルシウム含量はPGの施用によって高まり,その度合いは1.5g kg^<-1>区では炭カル施用のおよそ5倍量に達した.2)PGの施用はコマツナの地上部よりもむしろ根の生育に影響を及ぼし,炭カルに比べてPGの施用で根量が優る傾向にあった.その差は0.3g kg^<-1>施用のとき最大となり,地下部乾物重は炭カルの1.3倍程度となった.3)コマッナのカルシウム含有率は土壌の水溶性カルシウム含有量と密接に関係し,2mmol_c kg^<-1>以下の低濃度領域では明らかに抑制された.また,炭カルとPGを比べると,カルシウムの施用量が同じであれば炭カルに比べてPGの施用でコマツナのカルシウム含量は高まる傾向を示した.コマツナのカルシウム含有率は土壌の交換性カルシウムよりも水溶性カルシウムとの問で高い正の相関関係を示したことから,作物に利用される土壌中カルシウムの指標としては交換性カルシウムよりは水溶性カルシウムの測定が有効であると考えられた.
社団法人日本土壌肥料学会の論文
2006-02-05

リン酸石膏の施用が土壌の化学性とコマツナのCa吸収に及ぼす影響

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