明治前期民事判決にみる肥料経済をめぐる利害状況
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概要
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明治前期に東京で地主側が本郷区の借地人たちを相手どって下掃除を請求する民事訴訟が起きていた。大審院での判決原本は最高裁判所で,東京控訴裁判所での判決原本は東京大学法学部でかなり前に閲覧できていたが,東京裁判所での判決原本は不明のままであった。この始審判決原文は国際日本文化研究センターの英断によって最近ようやく見ることができ,この論文を完成に導いてくれた。これまで相当な時間を費やしてきただけに感謝の念にたえない。三審とも判決原本を読みえたことで,この民事事件の全体像を再構成し,下掃除をめぐる利害状況を追究してみたのが本論文である。下肥は東京近郊農業地帯の米作や麦作といった最重要の主穀作の主肥となっていたから,近郊農村民が渇望するところであり,下肥材料を入手する下掃除は代金支払いを伴なう経済行為でもあったから,下掃除をさせる権限が不動産をめぐる関係者の間のどの階層に属するかで非和解的な対立が生じることになった。それはまた,都市不動産課税とも関連して込み入った利害状況の展開があり,解明を要すると考えられた。そして,本論文は明治前期東京下肥経済算術をおこなったのである。
- 2007-06-07
著者
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