神経振動子の位相反応曲線推定法と振動安定性解析
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概要
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近年,大脳皮質体性感覚野において,抑制性介在細胞が細胞種毎に特異的な細胞間結合を形成することが明らかになってきた.しかし,現在,各細胞種が神経回路網の中でどのような役割を果たしているかは明確ではない.本研究では,抑制性介在細胞の中でfast spiking細胞とよばれる神経細胞とそのK^+チャネルに着目した.まず,生理実験と計算機シミュレーションによって,周期的な発火活動中に摂動電流を印加し,動的特性を知る為に位相反応曲線を計測,および,推定した.得られた位相反応曲線を基に,周期振動における一次元位相方程式モデルを作成した.そして,確率的力学系理論に基づき,白色雑音下の位相方程式の振動安定性の指数を計算した.その結果,イオンチャネル種の相対的な寄与の大きさによって,振動安定性に違いがあることが判明した.本稿では,こうした結果を基に,神経回路網におけるfast spiking細胞とそのK^+チャネル電流の役割を議論する.
- 2007-03-07
著者
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