尿失禁を伴う高齢者過活動膀胱症例に対する干渉低周波療法の有用性

概要

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(目的)抗コリン薬での効果が不十分な尿失禁を伴う高齢者過活動膀胱症例に対する干渉低周波療法(IF)の効果につきプロスペクティブに検討した.(対象と方法)65歳以上の80例.全症例に対し塩酸プロピペリン20mg/日の投与が3ヵ月以上行われ,その後のQOL indexが4以上であった.その後,表面電極を用いたIFを単独で3ヵ月間施行し,効果判定を行った.(結果)IFは8回(中央値)の時点で良好な効果が認められ,効果は継続した.有意な改善項目(夜間排尿回数の推移 ; p=0.0004,それ以外の項目 ; p<0.0001)を以下に記載する(数値は[IF開始前の平均値]→[IF後3ヵ月の平均値]). 1) 尿失禁回数 ; 13.3→3.6回/週, 2) 60分間PADテスト ; 17.5→3.1gr., 3) 昼間排尿回数 ; 8.3→7.0回,夜間排尿回数 ; 1.8→1.4回, 4) IPSS ; 12.1→6.3, QOL index ; 5.2→2.4, 5) 1回排尿量 ; 170.2→254.2ml, Qmax ; 18.1→25.7ml/秒, Qave ; 8.9→12.1ml/秒, 6) 1日平均屋外滞在時間 ; 1.5→3.0時間,1日平均行動半径 ; 400→1,200m,ADLスケール ; 8.0→3.4, 7) 血漿浸透圧 ; 295.1→297.8mOsm/l, BNP ; 41.3→19.2pg/ml.(結論)今回の検討結果は,抗コリン薬での治療効果が不良な尿失禁を伴う高齢者過活動膀胱症例に対するIFの安全で有効な臨床効果の可能性を示唆している.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
2007-03-20