MRIで淡蒼球・黒質に異常信号を認め高圧酸素療法が効奏した一酸化炭素中毒の1例 : 一酸化炭素による選択的脳組織傷害機序の一考察
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概要
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MRIの拡散強調画像で両側淡蒼球・黒質に高信号を認め,高圧酸素療法(hyperbaric oxygen therapy:以下HBO)が効奏したCO中毒の1例を報告した。症例は25歳男性で,飲酒後灯油ストーブ前で就寝し,翌日倒れているところを発見された。HBO目的で入院となり,第1病日の頭部MRI検査において両側淡蒼球に拡散強調画像で高信号を認めた。第13病日の頭部MRI検査では両側黒質にも拡散強調画像で高信号を認めた。計19回のHBOを施行し,経過良好にて第34病日退院となった。CO中毒の中枢神経病変は,淡蒼球・黒質・大脳白質など脳内の鉄の分布と関連している。CO中毒の脳組織傷害は,COの還元作用でフェリチンに蓄えられた非ヘム鉄が遊離イオン化し, Fenton反応およびHaber-Weiss反応によってH_2O_2から・OHが生成され,oligodendrocyteやミエリン鞘の傷害・神経細胞死を引き起こしている可能性がある。
- 日本保健科学学会の論文
- 2007-03-25
著者
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