蕭紅と『生死の場』
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概要
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蕭紅(本名:張乃瑩)は1930年代、東北出身の抗日作家として、中国文芸界にその名を馳せた。蕭紅の生きた1911年から1942年は、日本が中国への侵略を拡大していった時代であり、中国国内では、封建体制が崩壊し民主主義が芽生え、「抗日」のもとに民族意識に目覚めていった激動期である。 蕭紅の前期の代表作とされる『生死の場』は、満州事変前後の中国東北の農村を舞台に書かれたもので、前半では、農民たちが封建地主の苛酷な搾取のもと、猛威をふるう自然や伝染病、貧困と必死に抗うさまが、後半では、日本軍に侵略されて生きる術を失った農民たちが、「抗日」に起ち上がるさまが描かれている。 蕭紅の生い立ちから『生死の場』出版までの経過を辿り、『生死の場』における女性像に作家自身の体験がどのように投影されているか、女性問題の観点から考察する。
- 関西外国語大学の論文