胎児期空腸閉塞が疑われた中腸軸捻転合併腸回転異常症の1例
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概要
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中腸軸捻転は腸閉鎖や胎便性腹膜炎と診断されたうえで出生後の手術で中腸軸捻転と診断される報告が多く,胎児期にそれと診断されることは稀である.今回,胎児超音波で空腸閉鎖が疑われ,手術により中腸軸捻転と診断された症例を経験した.症例は在胎36週0日に,胎児超音波にて空腸閉鎖が疑われた.在胎36週2日に経膣分娩で出生した.注腸造影などより腸回転異常による空腸閉塞を疑い,2生日に手術を施行した.術中所見ではトライツ靱帯は認めず,全小腸と回盲部は,上腸間膜動脈を中心に反時計回りに1,080度捻転を起こしていたが,腸管の色調は良好であった.以上より,腸回転異常症,中腸軸捻転と診断した.捻転の解除とLadd手術を施行し,術後の経過は良好であった.中腸軸捻転の超音波所見として,腸閉塞の所見に加えwhirlpool signがあり診断に有用である.胎児期に腸閉塞が疑われた時は,中腸軸捻転も念頭に置く必要がある.
- 日本小児外科学会の論文
- 2007-02-20
著者
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林田 真
九州大学小児外科
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有馬 透
北九州市立医療センター小児外科
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有馬 透
九州大学 大学院医学研究院小児外科学分野
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有馬 透
北九州市立八幡病院 放
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中尾 真
北九州市立医療センター小児外科
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中尾 真
兵庫県立こども病院小児外科
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林田 真
北九州市立医療センター小児外科
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