Seroprevalence of anti-hepatitis E virus antibody at the Iwate Red Cross Blood Center donor population : a first report

概要

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最近,E型肝炎は,ブタ,イノシシ,シカなどの生肉を食したヒトに感染する人畜共通感染症と考えられるようになった.そこでわれわれは岩手県の献血者におけるHEV抗体の頻度を検討した.1994年6月〜2000年8月の期間の献血者から,任意に抽出した200例を対象とした.内訳は,男性99例,女性101例,平均年齢34.4±14.2歳である.献血者は居住地から性比と年齢分布を一致させ,沿岸,県央,県南,県北の4つの地域グループに分類した.全体としてIgGクラスのHEV抗体(以下HEV抗体)は,3.5%(95%CI 1.0〜6.0%)に認められたが,IgMクラスのHEV抗体は認められなかった.自覚的他覚的にも肝炎の既往を有さない献血者において,E型肝炎の不顕性感染は顕性感染に比し,より高頻度に起こっていることが推察された.各地域におけるHEV抗体の頻度に有意差は認められず,HEV抗体が陽性の7例の内訳は,男性例4例,女性3例で,年齢は24〜59歳に分布していた.HEV抗体陽性例と陰性例間の性比およびALT,ASTとγGTPの平均値には有意差は認められなかったが,平均年齢はHEV抗体陽性例で高い傾向を認めた.今後さらに例数を増やし,各地域の生活様式を考慮し詳細な検討を行うことにより,経口感染によるE型肝炎の感染経路が明らかになって行くと考えられる.