認知症高齢者の自己効力感が高まる過程の分析とその支援
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概要
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背景 高齢社会の進展に伴い、認知症の高齢者の数も増加し、2020年には291万人に上ると推計されている。認知症とは、獲得された知能が何らかの器質的障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活等に支障をきたした状態である。従って認知症高齢者の本質的な問題は、それまで生きる拠り所としていた知的能力や生活史を失い、人間関係も失うことによって、生きる不安が起こることである。不安を軽減する支援方法について看護や介護する立場からの研究は多いが、当事者の立場からの研究は少ない。目的 認知症高齢者が環境変化の中でどのように自己尊重を低下させ、不安をどのように受け止め、不安に対処しているのかを明らかにする。そこに自己効力感がどのように関連し、どのように高まっているかそのプロセスを明らかにし、それを高める支援の方法について分析する。結果 面接回数は11回で、目的から4段階に分けられた。自己認知に関する表出は334項目あった。その内容を分類すると、自己否定の意識につながるもの14カテゴリーと、自己肯定の意識につながるもの10カテゴリーとなった。自己意識と面接の段階との関連では、どの段階においても自己肯定・自己否定の意識が表出された。面接の回を重ねる毎に自己肯定の意識の表出が多くなった。趣味などの当事者の強みに働きかけた時に自己肯定の意識が多く表出された。結論 当事者の具体的な強みに働きかける事で自己効力感は高まる。高まる過程は、行きつ戻りつして螺旋状に高まっていく。自己効力感が高まっていると、納得できない環境変化等に遭遇しても自分の気持ちを表出する方法で対処することができる。
- 2006-06-30
著者
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