抗癌剤耐性膀胱癌細胞株の中心体過剰複製について

概要

論文の詳細を見る
【目的】癌治療の一つに抗癌剤治療がある。効果を得られる場合もあるが,得られない場合は抗癌剤治療に対し癌が抵抗性をもつ事が原因の一つとなっている。今回の研究目的は,抗癌剤耐性能の獲得機序を検討し,ヒトの癌で高頻度に認める中心体過剰複製との関連について検討することにある。【対象と方法】膀胱癌細胞株KK47はgradelの尿路上皮癌である。KK47にアクチノマイシンDを0.001μg/mlから投与を開始し,約1年かけ1.55μg/mlの抗癌剤耐性株を樹立した。抗ペリセントリン抗体による中心体過剰複製の有無,メタフェーズ標本とFISH法による染色体不安定性の評価,M-FISH法・DNAマイクロアレイによる染色体・遺伝子変化の比較を行った。【結果】KK47は中心体過剰複製を3.4%に,抗癌剤耐性株では50.5%の細胞に認めた(p<0.001)。また,M-FISH法でKK47と比較して抗癌剤耐性株において染色体10番に15番,11番に3番,12番に14・17番が転座した。KK47では21番の染色体数が3本であったが抗癌剤耐性株では2本に減少し,長腕に増幅を認めた。DNAマイクロアレイでは287種類中24種類で欠失・8種類で増幅を認め,薬剤耐性遺伝子であるMDR遺伝子が5倍に増幅していた。また,中心体複製に関与する遺伝子のPCNT2やDYRK1Aの増幅も認めた。【結論】抗癌剤耐性株で中心体過剰複製を認めた。癌細胞は抗癌剤抵抗性を獲得し生存していくために表現型を変化していくとされ,中心体複製異常が,抗癌剤の耐性能獲得過程において影響している可能性が示唆された。

抗癌剤耐性膀胱癌細胞株の中心体過剰複製について

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク