尿路感染症分離菌における薬剤感受性の検討

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【目的】尿路感染症において,適切な治療薬の選択には原因菌の同定とその薬剤感受性試験が必須となる。尿路感染症分離菌の薬剤感受性について検討した。【方法】平成15年4月から1年間,尿路感染症と診断された330症例から分離された474菌株を対象とし薬剤感受性について検討した。【結果】単純性尿路感染症の原因菌はEscherichia coliが全体の80%以上を占めた。複雑性尿路感染症の原因菌はE.Coliに代わってPseudomonas aeruginosa, Serratia属などの弱毒グラム陰性桿菌,グラム陽性球菌ではEnterococcus faecalisやmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA)の頻度が増加した。E.Coliでは,セフェム系,カルバペネム系薬剤は全て90%以上の感受性をしめした。単純性と複雑性尿路感染症を比較した場合,複雑性尿路感染症で分離されたE.coliの感受性の低下を認めた(CCL, 97.1%→88.9%, LVFX, 94.3%→84.8%)。P.aeruginosaで感受性が80%以上の薬剤は,PIPC, CTRX, IPM, GM, AMK, ABKであった。黄色ブドウ球菌中のMRSAの割合は79.5%(39株中31株)であり,VCM, TEIC, ABKに耐性菌を認めなかった。【結論】実際の診療においては,原因菌が確定する前に治療を開始することが多く,原因菌の分布と薬剤感受性の動向を把握し適正使用を心がけることが重要であると考えた。
金沢医科大学の論文

尿路感染症分離菌における薬剤感受性の検討

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