市民社会を強化するガバナンスとパブリック・マネジメントおよびデモクラシー : サスティナブル・ポリティクスという新しい政治学
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概要
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「新しい世界には、新しい政治哲学が必要である」。1925年、ハロルド・ラスキ(Harold Laski)は大著『政治学大綱(A Grammar of Politics)』の冒頭にそう記した(Laski 1925:15)。1989年、東西冷戦の象徴であったベルリンの壁が崩壊し冷戦が終結した後の1990年代から世紀を跨いだ今日に至る政治状況を見ると、以前では考えられないような様々な新しい政治現象が出現している。ラスキのフレーズを借用すると、正に、「新しい世界には、新しい政治学(New Politics)が必要である」。おそらく、そのような新しい政治学の一つとして求められるのは、持続可能な開発(sustainable development)もしくは持続可能な社会(sustainable society)の形成嚮導(orientation)する政治学、すなわちサスティナブル・ポリティクス(Sustainable Politics)であろう。本稿は、かかるサスティナブル・ポリティクスの基本構成、基本概念および基本戦略について、その素描を試みるものである。中でも、本稿は、サスティナブル・ポリティクスの基軸を構成する<市民社会を強化するガバナンスとパブリック・マネジメントおよびデモクラシー>に着眼する。尚、注意しなければならないのは、サスティナブル・ポリティクスが、「環境政治学(Environmental Politics/Ecological Politics)」の言い換えではなく、また環境政策やエコロジー運動あるいは環境NGOなどを研究対象に据え、もっぱら、環境政策論やエコロジー運動論あるいは環境NGO論という各論的な分析に終始するものではない点である。
- 近畿大学の論文
- 2006-09-30
著者
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