美術学習におけるクリティカルな思考と判断に関する研究
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概要
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情操教育を目的とする日本の美術教育においても,美術学習の中でクリティカルな思考や判断を育てるための学習内容を考えていくことが今後益々重要になってくる。そのために,美術批評の在り方について考察し,そこから美術学習の中で批評活動を行なうことの意味と方法について検討した。この批評活動は,単なる知識・理解に留まらず,自分の感じ・見方・考え方を常に自己批判しながら獲得していく過程と考えられ,鑑賞活動の中でさらに行なわれていかなければならない学習だと思われる。そして同時に,鑑賞活動の中に組み込まれる批評学習ばかりではなく,表現活動を含む美術学習全体にその考え方を発展させたクリティカルな思考と判断を育てる学習が,新たに想定される。例えば,イングランドのナショナル・カリキュラムが示すArt and designの学習内容には,クリティカルな思考と判断の形成にかかわる内容が多く見られ,それらが日本の美術教育の内容に示唆するところのものは大きい。クリティカルな思考にかかわる学習は,美術教育のみならず日本の教育が課題としてあげている思考力につながるものであり,造形美術活動を通して育てていく思考力は,思考のとらえそのものを広げる可能性を持つ。そして,美的価値や質について子どもたちが判断し,互いにその判断を共有でき,新たな価値や質を形成し続けていくような学習の在り方を考えていかなければならない。The purpose of this paper is to investigate the "critical thinking and judgment" in art learning, and to explore methods and approaches which enable pupils to develop a critical thinking and judgment. Young people need to be able to make informed value judgments about aesthetic and design qualities. To be able to do this, they need to develop skills of analysis, interpretation and evaluation as a basis for making judgments. I think that the experience of pupils in art studies should be a combination of practical, theoretical and critical work. So we need to determine the basic teaching materials to develop the critical thinking and judgment about Visual Art in Japanese art education.
- 2007-02-28
著者
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