美術教育におけるクリティカル・スタディについて
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概要
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イギリスの美術教育と日本の美術教育の学習内容を比べた時,イギリス独特の学習内容としてとらえられるものに,クリティカル・スタディがある。それは,ナショナル・カリキュラムの中で明確に示されているものではないが,イギリスの美術教育の学習内容と方法に大きな特徴を与えている。その内容は,クリティカルな思考や判断を育てるための語彙を増し,視覚言語を理解するためのスキルを習得させることを目指す鑑賞活動を重視する学習であり,同時に制作活動と鑑賞活動を一体化させようとするものである。そして,そのために,美術館,博物館,アーティストと学校が協力し合う学習方法と教材の開発を進めている。これらの学習内容は,イギリスの教育全体が現在目指す方向と重なり,ナショナル・カリキュラムの改訂とともに学校教育における美術教育のとらえ方を広く豊かなものにしている。さらにこのクリティカル・スタディは,日本の美術教育の中にまだ位置づけられていない「批評」領域にかかわる鑑賞学習の目的と内容,方法を考える上でも意義深いものである。また,子どもたちのクリティカルな思考を養うための活動を行うことは,日本の教育全体に大きな意味を持つものだと考える。
- 2006-03-20
著者
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