ダブル・コンティンジェンシーについて
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概要
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自分がどう出るかは相手の出方次第であり、相手から見ても同様であるとき、ダブル・コンティンジェントな状況にあるといわれる。コンティンジェンシー(不確定性)は事態をむずかしくする厄介者のようであり、除去すべきものと考えられがちである。パーソンズもその方向でダブル・コンティンジェンシーの問題をとらえた結果、満足な解決に至らず終わった。一方ルーマンは、ダブル・コンティンジェンシーがあるからこそ相互行為や社会システムが生まれるのだと見る。この魅力的な発想転換を、彼のいう「コンティンジェンシー概念の拡張」を手がかりにして読み解き、筆者なりにくだいて説明するのが本稿の主旨である。コンティンジェントなものは、必然的でもなければ、不可能でもないものである。その「不可能でない」に賭ける人間がいるかぎり、社会システムは生成するのである。
- 関西大学の論文
- 2005-12-05
著者
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