我が国の地域社会における非行統制機能について(I 課題研究 地域社会を基盤とする犯罪統制の新動向)
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概要
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全国の92地域で収集した調査データを分析し,分析結果に依拠して,我が国の地域社会における非行統制機能の現状を検討した.多重レベル分析の結果として,男女とも,中学生の年齢,家庭環境や学業成績といった個人状況を統制した上で,青少年に対する住民の働きかけが多い地域では,中学生の非行が実質的に少ないことが明らかとなった.さらに,交互作用の結果から,男子中学生では,親子関係や学業適応の状況によって,地域住民の働きかけが非行化に及ぼす影響が大きく異なることが示唆された.一方,非行防止活動の態様別に活動水準と非行発生との関連を検討した結果として,各種社会参加活動の中で,環境美化活動の活動水準が最も明示的に非行発生水準と負の関連をもつことが明らかとなった.さらに,社会参加活動において,他人と協力して物事を達成する経験をもつことが中学生の非行化を防止する上で重要であることが示唆された.非行防止活動の効果的な態様をより詳細に検討することが今後の課題である.
- 日本犯罪社会学会の論文
- 2003-10-18
著者
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