相模灘産多板類相予報
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概要
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国立科学博物館が中心となって行った調査研究「相模灘およびその沿岸地域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明」(平成13〜17年度)で得られた多板類標本および国立科学博物館所蔵の相模灘産標本について分類学的検討を行った結果,10科23属50種を確認した.このうち8種は未記載種と考えられる未詳種,17種は相模灘からは初めての出現記録である.また50種のうち24種は潮間帯および潮下帯に生息する種であり、26種は周縁底帯以深に生息する種であった.同海域の4地点,伊豆半島下田,真鶴岬,三浦半島,房総半島坂田で浅海における出現種の構成を比較したところ,採集努力量の少ない真鶴岬を除き,全地域ほぼ一様な種から構成されるものの,数種については南部にのみ出現することが判った.南部にのみ出現する種は南日本あるいは南日本以南の暖流系の種で,相模灘が分布の北限となっている.本州東北地方以北に分布する寒流系の種は出現しなかった.また1914年から2005年までの90年間の経時的な出現記録を比較すると,記録、特に深海性種の記録は不十分ではあるものの,浅海性の種については,多くの種が現在も分布していることが判った.経時的な変化の少ない理由は,多くの多板類が外洋性の強い岩礁地に生息するため沿岸の開発や海洋汚染の影響を比較的受けにくく,生息可能な環境が現在も保たれているためであろう.
- 国立科学博物館の論文
- 2006-03-27
著者
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