大学女子短距離選手における激運動後最大血中乳酸値とパフォーマンスとの関係
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概要
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大学女子短距離選手について、無酸素性解糖能力の指標となる激運動後の血中乳酸濃度と、100m、及び400m走のパフォーマンスとの関係を検討した。400m走については、100m毎のラップタイムとの関係についても検討した。最大乳酸値を得るために、1分間の全力走を行い、走行後5分目の乳酸値を最大血中乳酸値とした。また、血中乳酸の回復力を観察するために、走行前、走行後5分、10分、15分、20分、25分、30分目の血中乳酸の測定を行った。最大血中乳酸値と、100m走、及び400m走の記録の間には有意な関係が認められなかった。また、真の乳酸生成量(走行前安静時の値と、最大値との差異)と、これらのパフォーマンスの間にも有意な関係は認められなかった。これは、100m走、及び400m走のパフォーマンスにとっては、無酸素性解糖能力より、非乳酸系生成エネルギー発揮能力の改善が必要であることが示唆された。また、最大血中乳酸値に対する30分後の乳酸億の比率(回復率:%)と、400m走の記録の間にr=-0.735という相関係数が得られ、記録のよい者ほど回復の幅が小さい傾向にあった。また、回復率と400m走における300mから400mまでに要した時間との間にr=-0.822(p<0.05)という相関係数が得られ、同様に記録のよい者ほど回復の幅が小さい傾向にあった。血中乳酸の回復率が高いものは、有気系能力が優れると考えられ、相反する無酸素性能力に劣ることが考えられた。これらのことから、以下の点が示唆された。1)100m走、及び400m走のパフォーマンスを向上させるには、非乳酸系生成エネルギー発揮能力を高めることが重要と思われた。2)400m走における300mから400mまでに要した時間と、回復力との間に有意な関係が見られたことから、血中乳酸値の回復力の観察を行うことで、400m走パフォーマンスの予測やトレーニングの指標になることが示唆された。
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