企業の環境コミュニケーションに関する考察 : 業種別にみた環境報告書の発行動向より
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概要
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環境報告書は,企業の環境に対する取り組みをステークホルダーに伝達するコミュニケーション・ツールのひとつである。近年,環境報告書を発行する企業の数は増えているが,業種による格差がみられ,企業の説明責任についての意識が浸透していないことをうかがわせる。他方では,環境報告書にCSR(企業の社会的責任)や持続可能性の側面を盛り込み,環境配慮経営やエコデザインを効果的にアピールすることによって,有効なマーケティングを実現している企業もある。そこで本研究では,コミュニケーション・ツールとしての環境報告書の発行状況や内容を業種別にまとめ,比較を行った。次に,外部機関による企業の環境配慮評価を業種間比較し,環境報告書によるコミュニケーションの評価との関連を調べた。その結果,環境報告書を活用した環境コミュニケーションに積極的な業種の特徴は,(1)顧客が消費者で,企業との距離が近いこと,(2)事業活動の環境負荷が大きく,社会への説明責任が大きいこと,(3)環境への取組が本業と深く関係していること,の3点にまとめられた。最後に,コミュニケーション・ツールとしての観点から,環境報告書の今後の動向について,環境配慮促進法施行,網羅性と読みやすさ,信頼性と比較可能性,対話性,の4点から考察を行っている。
- 2006-03-15
著者
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