大学生の環境意識に関する考察 : 人間環境学部都市環境学科の学生アンケート調査
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概要
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2001年,大阪産業大学に開設された人間環境学部は,人間環境の形成に関わる総合的視野をもち,自ら環境問題の解決策を示しうる人材育成をその教育目標に掲げている。然るに学生の環境意識に関する調査はほとんど行われてこなかった。本論文では,都市環境学科の展開科目である「生活環境学」の履修学生対象に実施したアンケートの結果から,環境関連の基礎的な用語理解【エコワード認知度】,環境を配慮する態度【ライフスタイル・エコポイント】,環境配慮的行動【グリーン・コンシューマー度】についてアンケート調査を行い,学生の環境配慮レベルと特徴について考察した。その結果,学生の【エコワード認知度】は一般社会人よりも高く,授業の初回と最終回を比較すると当該学期中にかなり進歩がみられた。【ライフスタイル・エコポイント】は「廃棄物問題」に関連した行動が高得点となり,日常の生活行動の中で環境意識が身についていることが示された。一方,家庭のエネルギー機器選定や家事において,学生自身に行為主体としての認識が少なかったため,「地球温暖化問題」「水質汚染問題」に関連した行動の得点は低いという傾向が見られた。総合エコポイントは,「環境に関心のある一般人」よりは低かったものの,「他大学の化学系学生」のポイントを大きく上回った。【グリーン・コンシューマー度】から見た行動化に関しては,経済的な利得が伴う場合にポイントが高くなるという傾向が見られた。なお,いずれの調査においても,2回生と3回生以上を比較すると,3回生以上のグループの得点が高かった。以上の結果から,環境に関連した教育機関としての本学部における教育は,一定の効果をあげているものと考えられる。今後は,知識をライフスタイルへの定着や行動化につなげていくことが重要な教育課題である。
- 大阪産業大学の論文
- 2006-03-31
著者
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