中国帰国者の日本語習得と雇用 : 国家賠償請求訴訟における帰国者の陳述および身元引受人の語りから
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概要
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本稿は、国家賠償請求訴訟における中国帰国者の陳述および身元引受人の語りから日本語習得と雇用について述べるものである。中国からの永住帰国者の多くが、国の帰国政策や定着自立支援策等をめぐり、国家賠償請求訴訟を起こしている。その裁判の法廷で中国残留孤児らは、公的機関の短期間だけの日本語学習では挨拶くらいしかできず、生活や仕事に支障をきたすと陳述している。日本語ができないために適切な仕事が見つからず、やっと探した職場では、いじめを受けると訴える。他方、中国帰国者の面倒をみてきた身元引受人は、彼(女)らが企業に雇用され、安全に仕事を遂行するためには日本語を習得しなければならないと語る。そのうえで職業人としての責任と自覚をもって業務遂行に努める姿勢が求められる。孤児らと身元引受人の語りから、中国帰国者と日本社会の間で考え方に相違があることが判明した。さらに日本語教室が「ハローワーク化」ともいえる現象を呈しており、日本語習得の機会と安定雇用の機会提供が日本語教室でなされていることが、本稿において発見された。現在進行中の国家賠償請求訴訟における法廷での中国残留孤児らの陳述、インタビュー事例および地域で多数の中国残留孤児や残留婦人らの世話をしてきた身元引受人が語る帰国者個々人の多様な生活を通して、日本語習得と雇用の問題が映し出される。「日本語」と「雇用」の問題は中国帰国者の日本定住にあたり重要な要素を構成しており、日本語学習と就職支援の必要性がより一層鮮明になったことが確認できる。
- 名古屋市立大学の論文
- 2006-06-24
著者
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