綾子舞の文化伝承(著書)
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概要
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近年,「スポーツ」を「文化」として理解することの重要性がうたわれるようになった。「スポーツ」に凝縮・刻印されている「文化」と「社会」を文化人類学の方法によってよみといていく。本書は,そうした意図の下に編まれた。民族スポーツ,国際スポーツ,過去スポーツ,武道,舞踊,遊び,養生,癒しなどなどの行動,それにこれらと関わる身体を異文化理解と自文化理解の展望の下に分析する試みが,本書において着手された。本書は「1部 スポーツ人類学のエッセンス」「2部 スポーツ人類学のアンソロジー」「3部 民族の生活とスポーツ」の3部こうせいになっている。中村の執筆担当は2部スポーツ人類学アンソロポロジー(7)であり,新潟県柏崎市女谷に伝承されている「綾子舞の文化伝承」である。フィールドワークにより,まず「綾子舞」の概観を述べ,現在における伝承の社会組織を中心にとりあげて,行政から離れた伝承組織づくりの可能性の問題や文化変容の問題を考える。構成は以下の通りとなっている。1.綾子舞伝承の里,女谷 2.綾子舞とは 3.伝承の社会組織 まず1章では,五百年まえから「綾子舞」を伝承してきた新潟県鵜川地区女谷の風土,環境,生業そして,現在伝承している下野・高原田両部落の伝承特徴の様子を浮き彫りにした。また,古歌舞伎踊りの生きた資料として,本田安次により見出されて学会の注目を集め,全国的に知られ脚光を浴びるようになった歴史にふれた。次に2章では,女性が踊る「小歌踊」,男性が演じる「囃子舞」と「狂言」の三種類からなる芸能を総称した「綾子舞」の起源伝説や仮説をあげた。また,三種類の芸能についてそれぞれの特徴や伝承演目をあげた。とくに,「小歌踊」は室町末期に流行した囃子や小歌のしらべが色濃く残っていて,出雲の阿国や女歌舞伎の演技スタイルを彷彿させることで注目される。3章では,1)伝承の財政源。1976年,国の重要無形民俗文化財の指定をうけ,年間400万円の予算を国が50%,県と市がそれぞれ25%を負担してふたつの座元を中心とした「綾子舞保存振興会」が伝承者育成,記録作成,現地公開の実地,衣装や道具などの経費として使用した。2001年から市の補助事業として採択され,年間200万円の予算で伝承活動を行い「綾子舞保存振興会」は市教育委員会に委託され,全面的に市の行政下に入る。また,全国組織の「綾子舞後援会」をめざし,保存振興のための財政面,精神面でのバックアップを目標にしている。2)伝承活動の展開。伝承者育成講座(一般社会人向け講座),伝承学習(小中学校学習講座)を開設し,一貫した学習と保存振興を目指している。その為の「綾子舞会館」が2000年に開設された(伝承文化活用型交流促進施設)。
- 2006-03-31
著者
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