日米安保条約の国内化と朝日新聞 : 社説にみる日本防衛論(5)
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概要
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1990年代の『朝日新聞』は,沖縄の基地問題や新ガイドライン,「周辺事態法」等,日米安保条約をめぐる動きに直面した際,「アジア太平洋地域における新しい安全保障システムへの再構成」,「日中関係の悪化阻止」,「対米関係の重視」等を日本政府及び世論に訴え続けた。しかし同紙は,それらを実現するための具体案を提示することはなく,結果としてその主張は,日米安保条約の「国内化」を事実上容認する意味を持っていた。そして日本の政府及び主要政党も,このような『朝日新聞』の方針を受けて,沖縄の基地問題への対応及び新ガイドラインや「周辺事態法」の制定に臨んだ。それは,日米安保条約の存在を基本的に容認する日本国民世論の大勢とも一致していた。しかしその結果,安保条約における日本の対米依存構造は解消されなかったばかりか,日本は極めて曖昧な形のまま,対米軍事協力の枠組みを一層強化することとなった。
- 2005-12-31
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