日米安保条約の改定と朝日新聞 : 続・社説にみる日本防衛論
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概要
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『朝日新聞』は1960年における日米安保条約の改定に際して,「日本が関係のない戦争に巻き込まれないと同時に,米軍の対日防衛をより強固なものとする」ことを要求し,世論の啓発に臨んだ。当時の日本国内には社会党を中心に「日米安保条約を廃棄して非武装中立による日本の平和を実現しよう」とする動きもみられたが,『朝日新聞』はそれを「実現の可能性が乏しい」と終始批判し続けた。また米国と対立する中ソ両国からの「安保条約の廃棄」を求める「外圧」に対しては,日本政府と共に強く反発する姿勢を崩さなかった。さらに国会が改定安保条約を批准する際に生じた激しい抗議運動には,日米関係の動揺を避けるために事態の鎮静化を求めた。しかし日本政府の実現した改定安保条約は,米国の対日防衛を強化するのに成功した反面,日本の対米防衛を明文化しなかった代償として,「極東における米軍の活動」等の便宜を供与する形を旧安保条約から引き継ぐことを余儀なくされた。こうした日米安保条約に基づく日本の対米依存構造は,日本の米国への便宜供与を一層強化する一因となっていった。
- 2004-06-30
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