米国における農業普及体制の変遷及び大学の役割
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概要
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アメリカの普及事業は世界一の農業大国の形成に大きく貢献した。その特色ある普及制度は,多くの国に影響を及ぼしている。本論文は,アメリカにおける農業普及制度の変遷を解明し,普及事業における大学の役割を分析することを目的とする。アメリカ独立戦争後,各地の開拓や資本主義経済の発展が進み,農村社会では教育への要請が非常に高まってきた。1862年にMorrill Land-Grant College Actが成立した。また,1890年の第二Morrill Land-Grant College Actは,連邦政府が毎年各州に資金を支給し,州立農業大学の建設を援助すると定めた。この二つの法案により,アメリカ農業教育システムが設立された。州立農業大学に実験農場を付与し,連邦政府が援助金を交付するという法案Hatch Actが成立した。また,1914年に成立したSmith-Lever Extension Actは,州立農業大学を中核とし,連邦政府の支援と参加による農業普及組織の設立を規定した。このように,アメリカ普及事業の発展過程は,「大学教育」を農民およびアメリカ国民に浸透させる過程である。アメリカ農業普及事業の特徴は州立大学を中核とした事業展開という点である。教育・研究・普及の三つのシステムが有機に関連し合い,役割を果たしてきた。その後,州立大学システムの見直しが以下の視点からなされている。(1)国民にとってより利用・接近をしやすい州立大学。(2)教育・研究・普及における多分野にわたる協同。(3)教育,研究と普及という三つの機能の連携強化。
- 2005-03-01
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