肉用牛の肥育度評価法に関する研究
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概要
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牛体の成長に理論的根拠をおいた肥育度を表わす式をいくつか考案し, これらの指標と産肉性との相関を求めることにより, 肉用牛の質的能力と量的能力を具備した産肉性のより客観的な評価法について検討した.肥育度の表式として, 肥育度指数(f)=(体重/体高)×100,肥育係数(K)=(体重/x^α)×10^a, ローレル示数(R)=(体重/L^3)×10^a, および牛体比重(SG)=(体重/牛体体積)×100を用いた.供試資料として, 鹿児島県畜産試験場において昭和48年3月から53年1月までに行われた黒毛和種産肉能力検定(間接法)の記録のうち, 検定種雄牛20頭から生産された98頭の去勢牛の検定記録を用いた.その結果は次の通りである.1.仕上げ体重, 枝肉重量, 枝肉歩留りおよび1日当り増体量など, 量的な産肉形質と各体格部位との表型および遺伝相関は全般的に高い正の値を示し, 両者は密接な関係を有していることが示唆された.しかしながら, 脂肪交雑など, 質的な産肉形質と各体格部位の表型および遺伝相関は低く, 両者の密接な関係は認められなかった.2.肥育度指数fは, 量的な産肉形質とは極めて高い正の表型および遺伝相関を示したが, 脂肪交雑との相関は低く, 肉質を評価する指標としてはなお不十分である.3.体長を用いた肥育係数KBLは, 脂肪交雑と極めて高い正の遺伝相関(0.846)を示し, 肉質を評価する選抜指標として最も有効である.4.体長を用いたローレル示数RBLは, 肉量および肉質の両産肉形質と比較的高い表型および遺伝相関を示し, 肉用牛の量的能力と質的能力を具備した産肉性の評価法として有効である.5.肥育度指数f, 肥育係数KBLおよびローレル示数RBLの遺伝率は, それぞれ0.678,0.225および0.327を示し, fの選抜効果が最も期待される.
- 鹿児島大学の論文
- 1980-03-19
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