ススキサイレージの飼料価値
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概要
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我国山間部の小規模畜産農家における自給粗飼料として, ススキのサイレージ利用方式が成立し得ることを意図として, 本研究ではまずススキのサイレージ調製が可能かどうか, またススキの発育ステージと調製方法の違いがその飼料価値にどのような影響を与えるかについて検討した.鹿大農学部附属農場入来牧場のススキ型自然草地より原材料を調達し, 発育ステージを生育, 穂ばらみおよび出穂期の3期に分け, 調製方法を無細切無添加, 細切無添加, 細切フスマ5%添加および細切フスマ10%添加区の4区に分け, 計12区のススキサイレージを調製し, その飼料成分, 醗酵品質ならびにトカラヤギを用いて嗜好性を検討した.1.ススキのWSC含有率は6%以下と低く, また粗繊維およびNDFは高く, サイレージの原材料としては全般的に低質であった.発育ステージ別では生育期のものが最も良質と思われる.2.ススキサイレージのpH値は4.4以上と高く, 有機酸分析によるフリーク評点も低い値を示したが, 無細切無添加区は総酸含量は低いにもかかわらず, 総酸中に占める乳酸割合が高いために高いフリーク評点を示した.またフスマの添加によってその醗酵品質は向上し, 添加物の効果は明らかに認められた.発育ステージ別の醗酵品質の差異は認められなかった.3.ススキサイレージの嗜好性は, 生育期>穂ばらみ期>出穂期と, 発育ステージが進むにつれて低下し, 調製方法では無細切無添加区>細切フスマ10%添加区>細切フスマ5%添加区>乾草区>細切無添加区の順にその嗜好性は低下した.4.ススキサイレージの嗜好性と飼料成分および醗酵品質との相互関係を検討した結果, 粗蛋白質(r=0.879), DCP(r=0.744)およびフリーク評点(0.865)と嗜好性との間に有意な正の相関, 粗繊維(r=-0.716), 粗灰分(r=-0.749)およびNDF(r=-0.684)と嗜好性との間に有意な負の相関関係が認められた.以上の結果より, ススキのサイレージ調製は, 生育期のススキを原材料にフスマ添加を行う方法が最も適切であるが, 無細切無添加法についてもなお検討の余地があると思われる.
- 鹿児島大学の論文
- 1980-03-19
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