脳血管障害急性期入院患者の自宅退院の要因調査
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概要
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群馬県立循環器病センターに群馬大学神経内科より派遣された医師が担当した入院患者のうち,急性期脳梗塞・脳出血患者(以下急性期CVD患者)と神経学的に異常ない患者(以下非神経疾患患者)の退院先を,リハビリテーション(以下リハビリ)施行の有無と合わせて検討した。対象は1992年6月より98年5月までの全患者943例中,急性期CVD患者285例(脳梗塞235例,脳出血50例)と非神経疾患患者192例とした。死亡例や神経内科以外の疾患治療のため転院した症例を除くと,自宅退院の割合は,急性期CVD患者が非神経疾患患者より有意に低かった。急性期CVD患者について,自宅退院と自宅以外への退院を比較したところ,主病変が脳の左右いずれにあるかは退院先に影響せず,高血圧,不整脈,糖尿病,高脂血症,狭心症,心筋梗塞などの心疾患合併は,自宅退院を阻害する因子ではなかった。またリハビリ施行例は,リハビリ非施行例よりも自宅退院の割合が高い傾向があったが,有意差はなかった。今回調べ得た中では,麻痺や痴呆などによる介護が必要なことが,自宅退院の妨げになると思われた。急性期CVD患者では発症年齢が高くなるにつれて痴呆や麻痺による介護が必要な患者の発生率が上昇した。そしてこれらの患者が自宅に退院する割合は,高齢になるに従って低下する傾向があった。このような介護が必要な患者が自宅に帰るには,介護可能な家族の存在が不可欠である。患者と配偶者の高齢化,少子化が進行する中,要介護患者を社会が支えていくには,家族の対応のみでは不十分で,公的なサービスの充実が望まれる。
- 群馬大学の論文
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