A.ザロモンの初期社会事業理論
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概要
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中期フェミニズムと社会改良の思想・運動の結晶といえるドイツの「ソーシャルワークの創出」は、ヨーロッパ大陸部のモデルであった。しかし、ドイツの社会事業職は女子社会事業学校制度の枠組みで、1920年に国家試験・資格認定に至るために、ジェンダー化された職業倫理と癒着する傾向が強かった。ザロモンは初期には教養市民層の「女性の文化的課題」や母性主義に影響されて、ジェンダー化された職業倫理を掲げて理論を形成するが、1920年代になると社会事業の援助方法論に関心を移す。にもかかわらず、市民女性運動穏健派・保守派はザロモンの初期社会事業理論を重視し続け、特殊ドイツ的な職業倫理を駆使して母性の職業化を助長する。本稿ではザロモンの初期社会事業理論が長期にわたり影響力を持ち、それが晩年のザロモン自身の社会事業体系の破綻にも繋がっていく理由を、ザロモンの人脈を通して明らかにした。
- 2000-03-25
著者
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