南部フォッサマグナ南西部の浜石岳層群・庵原層群の火山岩の岩石化学
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概要
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鮮新世の浜石岳層群および前期更新世の庵原層群は南部フォッサマグナの南西部に位置する.浜石岳層群は下位から薩〓峠累層,中河内累層,川合野累層に分けられる.この層群は礫岩,砂岩泥岩互層,泥岩,海底における泥流堆積物の火山円礫岩および玄武岩,安山岩の水中溶岩および火砕岩からなる.浜石岳層群は中深海のトラフに堆積した.富士川河口付近に分布する前期〜中期更新世の庵原層群は下位から礫層からなる蒲原礫層および礫層と火山岩からなる岩淵累層に分けられる.岩淵火山岩層の火山岩は玄武岩および安山岩の溶岩および凝灰角礫岩,デイサイト溶岩ドームおよび玄武岩の貫入岩からなる.庵原層群は潟〜扇状地で堆積したものである.浜石岳層群薩〓峠累層の玄武岩および安山岩はソレアイト質である.一方,中河内累層の玄武岩はソレアイト質,安山岩およびデイサイトはカルクアルカリ質である.庵原層群の玄武岩溶岩,岩脈はソレアイト質,安山岩溶岩およびデイサイト溶岩ドームはカルクアルカリ質である.TiO_2-FeO^*/MgO,TiO_2-P_2O_5判定図へのプロットおよびN-MORB規格化図のパターンによると,浜石岳層群・庵原層群のソレアイトは島弧性ソレアイトである.浜石岳層群,庵原層群の火山活動は,古伊豆-小笠原弧の背弧リフト帯に生じた前期〜中期中新世の背弧海盆玄武岩および海洋島アルカリ玄武岩の活動から,丹沢,伊豆地塊の衝突をへて,現在の伊豆-小笠原弧の成層火山を主とする火山活動への転換期のものと位置づけられる.
- 1999-03-25
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