田辺層群の研究史にみる堆積学の役割 : 岩相層序から堆積相層序へ(<特集>堆積過程に対応した地層解読をめざして(2))
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概要
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浅海成中新統である田辺層群に関する,田辺団体研究グループなどによる1977年以降の一連の研究は,全域についての層序がない状態から,1984年に岩種構成比に基づく統一的な岩相層序の確立に至った.しかし,この層序は,従来のタービダイト相の層序・構造の研究をほぼそのまま浅海成層に適用し,堆積メカニズムや堆積環境の検討が不十分であったために,重大な誤りをもつものであった.その後の,ファンデルタ堆積物の堆積相解析や前浜〜陸棚堆積物の堆積相解析の研究によって,堆積メカニズムや堆積環境の変遷史,相対的海水準変動などの復元が可能となるのみならず,従来の層序の誤りが訂正され,かつ,解像力が大幅に上がった層序が設定されていく過程を,新旧の研究の比較によって検討した。その中で,堆積学が層序研究に大きく貢献できることを強調するとともに,田辺団体研究グループが当初もっていた古い常識や先入観がどのように克服されていったかを跡づけた.
- 地学団体研究会の論文
- 1998-09-25
著者
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